第1章 総  則     次章へ 

(目的) 
第1条 この法律は、労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
  
(事業者等の責務) 
第3条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
(2) 機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。
(3) 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。


第9章 安全衛生改善計画等   前章へ 次章へ このページのTOPへ

 第1節 安全衛生改善計画 

(安全衛生改善計画の作成の指示等) 
第78条  都道府県労働基準局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。
(2) 事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見をきかなければならない。
  
(安全衛生改善計画の遵守) 
第79条  前条第1項の事業者及びその労働者は、安全衛生改善計画を守らなければならない。
  
(安全衛生診断) 
第80条  都道府県労働基準局長は、第78条第1項の規定による指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見をきくべきことを勧奨することかできる。

  
 第2節 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント 

(業務) 
第81条  労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
(2) 労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
  
(労働安全コンサルタント試験) 
第82条  労働安全コンサルタント試験は、労働大臣が行なう。
(2) 労働安全コンサルタント試験は、労働省令で定める区分ごとに、筆記試験及び口述試験によつて行なう。
(3) 次の各号のいずれかに該当する者でなければ、労働安全コンサルタント試験を受けることができない。
  1 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校において理科系銃の正規の課程を修めて卒業した者で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
  2 学校教育法による短期大学又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
  3 前2号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、労働省令で定めるもの
(4) 労働大臣は、労働省令で定める資格を有する者に対し、第2項の筆記試験又は口述試験の全部又は一部を免除することができる。
  
(労働衛生コンサルタント試験) 
第83条  労働衛生コンサルタント試験は、労働大臣が行なう。
(2) 前条第2項から第4項までの規定は、労働衛生コンサルタント試験について準用する。この場合において、同条第3項第1号及び第2号中「安全」とあるのは、「衛生」と読み替えるものとする。

(指定コンサルタント試験機関)
第83条の2  労働大臣は、労働省令で定めるところにより、労働大臣の指定する者(以下「指定コンサルタント試験機関」という。)に労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験の実施に関する事務(合格の決定に関する事務を除く。以下「コンサルタント試験事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。

(指定コンサルタント試験機関の指定等についての準用)
第83条の3  第75条の2第2項及び第3項並びに第75条の3から第75条の12までの規定は、前条の規定による指定、指定コンサルタント試験機関及びコンサルタント試験事務について準用する。この場合において、第75条の2第3項及び第75条の12中「都道府県労働基準局長」とあるのは「労働大臣」と、第75条の2第3項中「第1項」とあるのは「第83条の2」と第75条の4第2項中「第75条の6第1項に規定する試験事務規程」とあるのは「コンサルタント試験事務の実施に関する規程」と、第75条の5第1項中「免許を受ける者として必要な知識及び能力を有するかどうかの判定」とあるのは「労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験の問題作成及び採点」と、同条及び第75条の8中「免許試験員」とあるのは「コンサルタント試験員」と、第75条の5第4項中「次条第1項に規定する試験事務規程」とあるのは「コンサルタント試験事務の実施に関する規程」と、第75条の6第1項中「規程(以下この条及び第75条の11第2項第4号において「試験事務規程」という。)」とあるのは「規程」と、同条第2項及び第3項並びに第75条の11第2項第4号中「試験事務規程」とあるのは「コンサルタント試験事務の実施に関する規程」と読み替えるものとする。  

(登録) 
第84条  労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、労働省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントとなることができる。
(2) 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の登録を受けることができない。
  1 禁治産者又は準禁治産者
2 この法律又はこれに基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者
3 この法律及びこれに基づく命令以外の法令の規定に違反して、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者
  4 次条第2項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者

(登録の取消し) 
第85条  労働大臣は、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタント(以下「コンサルタント」という。)が前条第2項第1号から第3号までのいずれかに該当するに至つたときは、その登録を取り消さなければならない。
(2) 労働大臣は、コンサルタントが第86条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことができる。

(指定登録機関)
第85条の2 労働大臣は、労働大臣の指定する者(以下「指定登録機関」という。)にコンサルタントの登録に実施に関する事務(前条の規定による登録の取り消しに関する事務を除く。以下「登録事務」という。)を行わせることができる。
(2) 指定登録機関が登録事務を行う場合における第84条第1項の指定の適用については、同項中「労働省に」とあるのは「指定登録機関に」とする。

(指定登録機関の指定等についての準用)
第85条の3 第75条の2第2項及び第3項、第75条の3、第75条の4並びに第75条の6から第75条の12までの規定は、前条第1項の規定による指定、指定登録機関及び登録事務について準用する。この場合において、第75条の2第3項及び第75条の12中「都道府県労働基準局長」とあるのは「労働大臣」と、第75条の2第3項中「第1項」とあるのは「第85条の2第1項」と、第75条の4第2項中「第75条の6第1項に規定する試験事務規程」とあるのは「登録事務の実施に関する規程」と、第75条の6第1項中「規程(以下この条および第75条の11第2項4号において「試験事務規程」という。)」とあるのは「規程」と、同条第2項及び第3項並びに第75条の11第2項第4号中「試験事務規程」とあるのは「登録事務の実施に関する規程」と、第75条の8中「職員(免許試験員を含む。)」とあるのは「職員」と、第75条の10中「試験事務の全部又は一部」とあるのは「登録事務」と第75条の11第2項及び第75条の12中「試験事務の全部若しくは一部」とあるのは「登録事務」と読み替えるものとする。  

(義務) 
第86条  コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(2) コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。

(日本労働安全衛生コンサルタント会) 
第87条  コンサルタントは、全国を通じて一の日本労働安全衛生コンサルタント会と称する民法第34条の規定による法人を設立することができる。
(2) 日本労働安全衛生コンサルタント会は、コンサルタントの品位の保持及びその業務の進歩改善に資するため、会見の指導及び連絡に関する事務を行なうことを目的とする。
(3) 第1項の法人以外の者は、その名称中に日本労働安全衛生コンサルタント会の文字を用いてはならない。


第10章 監督等    前章へ 次章へ このページのTOPへ 

(労働大臣等の権限) 
第96条  労働大臣は、型式検定に合格した型式の機械等の構造並びに当該機械等を製造し、及び検査する設備等に関し労働者の安全と健康を確保するため必要があると認めるときは、その職員をして当該型式検定を受けた者の事業場又は当該型式検定に係る機械等若しくは設備等の所在すると認める場所に立ち入り、関係者に質問させ、又は当該機械等若しくは設備等その他の物件を検査させることができる。
(2) 労働大臣は、コンサルタントの業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その職員をしてコンサルタントの事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又はその業務に関係のある帳簿若しくは書類を検査させることができる。
(3) 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、製造時等検査代行機関、性能検査代行機関、個別検定代行機関、型式検定代行機関、検査業者、指定試験機関、指定教習機関、指定コンサルタント試験機関又は指定登録機関(以下「製造時等検査代行機関等」という。)の業者の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その職員をしてこれらの事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又はその業務に関係のある帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
(4) 都立府県労働基準局長は、労働衛生指導医を前条第2項の規定による事務に参画させるため必要があると認めるときは、当該労働衛生指導医をして事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は作業環境測定若しくは健康診断の結果の記録その他の物件を検査させることができる。
(5) 第91条第3項及び第4項の規定は、前各項の規定による立入検査について準用する。

(報告等) 
第100条  労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
(2) 労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、製造時等検査代行機関等に対し、必要な事項を報告させることができる。
(3) 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
 


第11章 雑  則    前章へ 次章へ このページのTOPへ

(書類の保存等) 
第103条  事業者は、労働省令で定めるところにより、この法律又はこれに基づく命令の規定に基づいて作成した書類(次項及び第3項の帳簿を除く。)を、保存しなければならない。
(2) 製造時等検査代行機関等は、労働省令で定めるところにより、製造時等検査、性能検査、個別検定、型式検定、特定自主検査、免許試験、技能講習、教習、労働安全コンサルタント試験、労働衛生コンサルタント試験又はコンサルタントの登録に関する事項で、労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(3) コンサルタントは、労働省令で定めるところにより、その業務に関する事項で、労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。

(労働大臣の援助) 
第107条  労働大臣は、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医、コンサルタントその他労働災害の防止のための業務に従事する者の資質の向上を図り、及び労働者の労働災害防止の思想を高めるため、資料の提供その他必要な援助を行うように努めるものとする。


第12章 罰  則   前章へ このページののTOPへ


第117条  第37条第1項、第44条第1項、第44条の2第1項、第56条第1項、第75条の8第1項又は第86条第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第120条  次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。

(1) 第10条第1項、第11条第1項、第12条第1項、第13条第1項、第15条第1項、第3項若しくは第4項、第15条の2第1項、第16条第1項、第17条第1項、第18条第1項、第25条の2第2項(第30条の2第5項において準用する場合を含む。)、第26条、第30条第1項若しくは第4項、第32条第1項から第4項まで、第33条第3項、第40条第2項、第44条第5項、第44条の2第6項、第45条第1項若しくは第2項、第57条の2第1項、第59条第1項、第61条第2項、第66条第1項から第3項まで若しくは第6項、第66条の4、第87条第3項、第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第3項から第5項まで、第101条又は第103条第1項の規定に違反した者
(2) 第11条第2項(第12条第2項及び第15条の2第2項において準用する場合を含む。〉、第57条の3第1項、第65条第5項、第66条第4項、第98条第2項又は第99条第2項の規定による命令又は指示に違反した者
(3) 第44条第4項又は第44条の2第5項の規定による表示をせず、又は虚偽の表示をした者
(4) 第91条第1項若しくは第2項、第94条第1項又は第96条第1項、第2項若しくは第4項の規定による立入り、検査、作業環境測定、収去若しくは検診を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
(5) 第100条第1項又は第3項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
(6) 第103条第3項の規定による帳簿の備付け若しくは保存をせず、又は同項の帳簿に虚偽の記載をした者