労働衛生研修会

 ☆ 令和4年度 労働衛生研修会のポイント 

1.変わる職場における化学物質管理

慶応義塾大学 衛生学 公衆衛生学教室 名誉教授 大前和幸氏

「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告書が2021年7月に公表され、法令準拠型化学物質管理から自律管理型化学物質管理へ移行し、国がGSH分類で有害性を確認したすべての物質のリスクアセスメントを義務化し、曝露・健康リスクマネジメントは事業者の自律判断に任せるという方向性が示された。労働衛生コンサルタントは、法令準拠外の自律管理に必要な意志決定等の諸課題に対し、助言・判断・選択・情報提供・解決を事業者から求められる保健衛生・労働衛生工学の専門家として期待されている。本講演では、健康リスクマネジメントを中心に、報告書の内容の紹介と私見を述べる。

2.職場における発達障害

昭和大学 医学部 精神医学講座 教授 岩波 明氏

最近になって、発達障害は、精神科の臨床においても社会的にも大きな注目を集めている。発達障害はさまざまな疾患の総称であるが、主なものは、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠如多動性障害)である。ASDは対人関係、社会性の障害とこだわりの強さ、ADHDは不注意と多動・衝動性を主な症状としている。発達障害は、教育におけるいじめや不登校、社会的ひきこもり、職場における不適応、少年犯罪などと関連して注目されている。今回の講演では、就労中である成人期の発達障害の症例を紹介するとともに、職場における発達障害への対応と今後の課題について述べる予定である。

3.ナッジで人を動かす

青森大学 客員教授 竹林正樹氏

大半の人は認知バイアス(系統的な認知の歪み)を持つため,正しい情報を持っていても常に望ましい行動をするわけではない.このため,認知バイアスに沿った介入として、ナッジが注目されている。ナッジ提唱者のR.セイラーがノーベル経済学賞を受賞したこともあり,各国ではナッジ・ユニット(ナッジの政策活用を推進するチーム)が設立されるなど,ナッジ採用が進められている.本演題では,「安全の大切さをわかっていても受診しない人を動かすには?」をテーマに,ナッジの基本から実践までを体系的に紹介する。

 


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